クリスタル・クルーズ社(米)の「クリスタル・シンフォニー」(5万1044トン)が29日、函館港に初入港した。午前7時ごろに港町埠頭(ふとう)に着岸すると、乗客は次々にバスやタクシーに乗り込み、函館市内の観光地へ繰り出した。
同船は全長約238メートルで客室数は450室。クリスタル・ハーモニー(現・飛鳥II)の姉妹船としても知られている。今回は約700人が乗船し、26日に東京を出発して函館、ペトロハバロフスク(ロシア)やバンクーバー(カナダ)を経て、最終地サンフランシスコ(米)に向かう。
船内であった歓迎セレモニーで、函館地区クルーズ振興協議会の田中勝利会長は「市民代表として歓迎する。函館の魅力を堪能してもらい、旅程が安全で思い出深いものになれば」とあいさつ。乗組員は「温かい歓迎をありがとう。初寄港を楽しませてもらう」と感謝の言葉を述べた。
この日は道教育大函館校の学生12人らが学内での取り組みに生かそうと船内の案内を受けた。いくつもあるレストランやプール、カジノやシアターなどを見学。食事やトレーニングジムなどの利用は多くが乗船料に含まれていることなどを知ると学生たちは驚きの表情を浮かべていた。
同校の地域協働専攻国際協働グループ2年の近藤菜々美さん(19)は「夢のような世界でいつか祖母を連れてきてあげたいと思った。今回の経験を自分たちの研究にも生かしたい」と話した。同船は午後5時ごろ、次の寄港地に向けて出発した。(小杉貴洋)