刃物を振りかざす男に対し、経験を生かして制圧するなどし、一般市民の安全確保に努めたとして道警函館方面本部(小笠原和美本部長)は3月31日、函館西署十字街交番相談員で元警察官の坂本亮(まこと)さん(62)に、本部長即賞表彰を贈った。坂本さんはこの日で40年間の道警勤務を終え「人のために尽くす仕事ができる警察官になって良かった。道警関係者には、今後も住民からの信頼とまちの安全づくりに向けて業務に励んでほしい」としている。
30日午前11時前、男が同交番を訪れて1人でいた坂本さんに「この紙を読め」と迫った。果物ナイフをちらつかせたため、坂本さんは「何やってんだ」と大きな声を発し、男がひるんだすきにさすまたで制圧。外の市民に危害が及ばないようにと模範的な対応で間合いを取り、「訓練通りにできた」と電話で通報し、駆け付けた署員とともに男を逮捕した。
坂本さんは青森県大鰐町出身で帝京大卒業後、1976年に道警入り。函館中央署を皮切りに各地で主に交番・駐在勤務に就き、2014年に函館で定年退職。その後非常勤で交番相談員になっていた。
小笠原本部長は「警察官を退職しても、身をていする覚悟を持って地域の安全活動に当たる道警交番相談員の皆さんの存在を頼もしく思う」とした。
坂本さんは「交番などで多くの人と出会えたことがありがたい」とし、伴侶の啓子さん(59)への感謝も忘れず「これからは2人でキャンピングカーで全国を旅したい。この夢を生きがいにしてきた」と笑顔を見せた。(田中陽介)