1866(慶応2)年、京都・寺田屋で幕府側に襲撃された坂本龍馬を助けたとされる長府藩士三吉慎蔵の子孫が20日、龍馬が慎蔵にあてた書簡4通の複製を、北海道坂本龍馬記念館(函館市末広町)に寄贈した。龍馬が得た幕府などの情勢がつづられており、同館で公開を始めた。
三吉慎蔵は、薩長同盟成立前後の龍馬と行動を共にした。寺田屋での襲撃では応戦した後、薩摩藩邸に救援を求め、傷を負った龍馬の命を救ったとされる。
書簡は、事件後の慶応2年8月16日付、同3年3月20日付、5月5日付、同17日付の4通。「幕のたをれ候ハ近ニあるへく奉存候」と、倒幕が近いことを示す文言が見えるほか、西郷隆盛ら薩摩藩士の動向も記している。
原本は、慎蔵のひ孫にあたる治敬さん(80)=長野県上田市在住=が所蔵し、山口県の下関市立歴史博物館に寄託。治敬さんは、同館顧問で郷士坂本家九代目の坂本登さんと親交があり、慎蔵らの功績をたたえる「米熊・慎蔵・龍馬会」の函館訪問に合わせ、複製を寄贈した。
20日の寄贈式では、治敬さんが郷士坂本家十代当主の坂本匡弘さんに目録を手渡した。治敬さんは「龍馬は蝦夷地を開拓する志を持っており、慎蔵も聞いていたのではないか。函館の地に持ってこられたのは良かった」と話していた。(深津慶太)