函館中央署は19日、市街地でのクマの出没を想定した訓練を函館上湯川小学校で実施した。関係機関と連携し、クマ目撃の通報から現場での対処を確認した。
全国的にクマの出没が相次ぎ人身被害が増加しており、昨年10月には福島町の大千軒岳で3人が死傷する被害が発生。さらに函館市高松町や同上湯川町の市街地でクマの目撃情報や足跡が確認されたことや、春にかけてさらなるヒグマの出没が予想されことから訓練を実施した。
訓練は、上湯川小のグラウンドに体長1・5メートルのクマが出没したとの想定で実施。同小では校内放送で教員が玄関などの戸締まりを確認し、児童は教室で待機するよう指示が出された。同署と道警函館方面本部地域課が現地に警官を向かわせ、実際の手順に沿って周辺道路の交通規制や住民への注意喚起などを行った。
有害鳥獣の狩猟を行っている団体「ノースランドレンジャー」のハンターや市の職員らも参加。関係機関との協議で音や光による追い払いで対処することが決まり、グラウンドのクマに扮(ふん)した警察官の方向に爆竹やロケット花火を放ち威嚇し追い払った。また、クマが嫌がるとされる犬の鳴き声や銃声の音をスピーカーを搭載したドローンや、藪の中でもクマの位置を特定できるサーモカメラも披露された。
ノースランドレンジャーの山下慎悟副代表理事は「猟銃が使用できない市街地でのクマの目撃情報が増えている。どのような場所でも安全に対処するためにドローンやサーモカメラを使用するのは非常に有効。今後は自治体ごとでの訓練も行えれば」と話した。(中島遼泰郎)