【七飯】町藤城の休耕田で12日、中央シベリアやカザフスタンなど、日本から遠く離れた海外で繁殖するスゲヨシキリ(スズメ目ヨシキリ科)が確認された。国内では2例目の確認で、標識記録として情報収集できたのは国内初といい、関係者は驚きの声を上げている。
見つけたのは、鳥の渡りを調べるため足環を付けたりする鳥類標識調査を町内で行っている認定NPO法人バードリサーチの三上かつらさんと、町農業委員会事務局長の田中正彦さん。12日早朝、調査のため視認性の低いかすみ網を設置した休耕田を確認したところ、スゲヨシキリが1羽ほかの鳥に混じってかかっていた。
七飯に飛来した要因は不明だが、三上さんは「今回の確認例が本種にとって貴重な記録であるのは間違いない」と話す。
かかったのは体長12センチ、体重は9・4グラムで元気な状態だった。周辺でも普通に見られるコヨシキリとの違いは、背側上面の褐色の羽色に黒い縦斑模様が混じる点や、翼の形や足色、頭の模様が異なる点だ。
田中さんによると、道南地域は地形的にさまざまな渡り鳥が見られる場所だという。このスゲヨシキリは足環を付け、空に放したが、「全体的に鳥の数が減っている中、道内で確認された鳥が1種増えた」と珍鳥の発見を喜んでいる。(蝦名達也)