電源開発(東京)は4日、青森県大間町で建設中の大間原発について、今年11月に開始するとしていた安全強化対策工事の開始時期を1年延期し、2016年11月ごろとすることを発表した原子力規制委員会の審査終了のめどが立たず、同社が21年度を目標としていた営業運転開始時期も1年程度先送りとなる見通しで、計画全体の見直しを余儀なくされている
同社は同日、同町と隣接する佐井、風間浦の両村、同県に規制委の審査状況を報告国と同社を相手取り、建設差し止めを求める訴訟を起こしている函館市には電子メールを通じて連絡した
同社は昨年12月の規制委への新規制基準への適合性審査申請の段階で、1年程度での審査クリアを見込み、20年12月の安全強化対策工事の完了、試運転を経て21年度に運転開始を目指す考えを示していた
ただ、今年1月以降の規制委の審査会合での指摘を受け、原発周辺のさらなる地質調査が必要と判断し、8月から追加の調査を開始した下北半島西部の広範囲で海成・河成段丘面などのボーリング、トレンチ調査などを実施し、12月の終了を予定する同社広報担当者は「断層は調査済みだが、規制委の審査を受ける中で、下北半島の成り立ちについて補足説明をする必要があると判断した」とし「今後とも審査に適切に対応していく」としている
また、同社と係争中の市総務部の三原克幸参事は「規制委は『慎重に審査する』としており、電源開発が適合性審査の終了を1年程度としていた計画が当初から疑問だったので、延期について驚くことはない訴訟の場で粛々と建設凍結に向けて対応していく」と話している(今井正一)