函館市教委は23日、道徳教育に関するアクティブ・ラーニング(AL)研修会を南北海道教育センターで開いた。道徳教育を研究する秋田公立美術大の毛内(もうない)嘉威(よしたけ)教授が講師を務め、「より幸せな人生を歩める人間に育てるために、『考え、議論する授業』が必要」と提案した。
毛内教授は「これまでの道徳は、教材に登場する人物の心情を理解することに偏った傾向がみられた」と指摘し、「問題解決や体験型学習などのALを取り入れ、『自分ならどう行動するか』を考えさせる授業に転換することが、思いやりを持つなど人間らしい道徳的価値を学ぶことにつながる」とした。
また、「死とは、心臓停止か、脳の活動停止か」など生死に関する選択肢を提示し、聴講した小・中学校の教員約90人がグループで意見を交流。これを踏まえ、毛内教授は年間指導計画の立て方について「幸せな人生を歩むために、生から学ぶか、死から学ぶかは、教師の指導観、経験、教材、対する生徒によって変わる。ただ、大事なのは各校がしっかり重点目標を設定し、それに対してどう指導するか」と目標設定の重要性を強調した。
道徳科は昨年3月、学習指導要領の一部改定で「特別の教科 道徳」に格上げされた。小学校は2018年度、中学校は19年度から教科書を使った授業に入る。これに先立ち、市教委は本年度、道徳科のモデル校として北日吉小と深堀中を選定。両校は1年間研究を行うとともに、公開授業に対し毛内教授が助言するなどし、指導の質の向上に努める。(稲船優香)