函館中部高校の1、2年生弓道部員6人で構成するチームが、3月に埼玉県で開かれる「第8回科学の甲子園全国大会」(国立研究開発法人科学技術振興機構主催)に初出場する。第51回国際化学オリンピックの代表候補21人の一人に選ばれた2年生の根岸皐也(こうや)さん(16)を中心に、同校の“理系頭脳”が集結して大舞台に挑む。6人は「それぞれの得意分野を生かして大会を楽しみたい」と意気込んでいる。
高校生が科学的な知識や技術を競う大会で、同校は函館地区一次予選(10月)、全道大会(12月、札幌)を経て、全国切符をつかんだ。メンバーは根岸さんのほか、2年生の梨木健斗さん(17)、阿部修士さん(17)、山田優空さん(17)、澤田悟空さん(17)と1年生の向井大駆さん(16)の6人。
1年生の時に地学部員と1次予選に臨んだ根岸さんだったが、全道大会には進めなかった。リベンジを誓い、生物が得意な阿部さん、物理が得意で弓道部の部長を務める澤田さんら、気心の知れた仲間にそれぞれ声を掛けて誘った。出場を迷ったメンバーもいたというが、澤田さんは「彼(根岸)がいれば全国出場も遠くはないと思った。自分たちも全力を尽くして彼の夢を応援したかった」と参加動機を振り返る。
一次予選を勝ち抜いた10校12チームが出場した全道大会では筆記、実験、ものづくりやコミュニケーションの能力を見る総合の3種目で合計点を競い合った。理数系の分野から幅広く出題される筆記と実験には、根岸さん、阿部さん、澤田さんの3人で挑み、どちらも1位となった。
割り箸や輪ゴムなど決められた材料で、バドミントンのシャトルを飛ばす道具を作り、的に当てる競技となった総合には、ほか3人で挑戦。弓道の知識を生かして「筈(はず)」という加工を施し、飛ばす角度や輪ゴムの緩みを考慮してはじく長さも細かく計算した。2メートル弱の壁を越して的に当てるのは苦労したが、2位タイを記録し、3種目合計で優勝した。梨木さんは「筈があることで安定して飛んでくれた」とほほ笑む。
指導に当たった小林真奈美教諭は「直前に勉強しただけでは成し遂げられない。日ごろの勉強の成果が表れていた」とたたえる。全国大会では、さらなる難問が出題される。現在は過去問題を解いたりして準備を整えている。6人は「傾向と対策をしっかり把握して、万全の状態で臨みたい」と期待を込める。(小杉貴洋)