津軽海峡周辺で取れるサメ「アブラツノザメ」を使った料理の試食会が10日、函館短大付設調理製菓専門学校で開かれた。臭いというイメージが先行し、廃棄されることが多い〝厄介者〟が西洋料理9品に生まれ変わり、試食したサメの専門家は「処理をきちんとすればおいしい魚だということを発信できるのでは」と太鼓判を押した。
同校では、サメ研究の第一人者として知られる北大の仲谷一宏名誉教授(水産学)による特別授業やホシザメを使ったはんぺん作りに挑戦している。本年度もはんぺん作りを企画したものの、ホシザメが入手できなかったという。そこで、函館近海で採れたアブラツノザメを漁師に活け締めしてもらい、吉田徹教頭が試食したところ、西洋料理に向いている身質であることが分かった。
レシピは吉田教頭が考案し、調理は西洋料理ゼミに所属する調理師科の1年生15人が手掛けた。重さ4キロのアブラツノザメを3匹使用し、はんぺんからヒントを得た「ムース・ソースアメリケーヌ」や「一匹ままのロースト・ガーリック風味」「グリル・ケイジャンスパイス風味」など9品が、彩り良くテーブルに並べられた。
試食したサメ加工の田向商店(青森市)の田向常城(つねしろ)専務は「臭みのもとである血がきちんと抜かれていたのがおいしさにつながった。主張しない味なので、西洋料理のソースや調理方法に合ったのでは」と笑顔。仲谷名誉教授も「最高においしい。もっと世間に知ってもらいたい」と話していた。(稲船優香)