臥牛山5月28日・オバマ氏広島訪問
「広島の真ん中に立ち、原爆が落とされた時に思いをはせている。子どもたちの苦しみを思い起こす」。終戦から71年、オバマ米大統領は神妙な面持ちで歴史的な演説の場に立った▼27日夕、現職の米国大統領として初めて被爆地・広島を訪れた。伊勢志摩サミットを終えたその足で、安倍首相とともに平和記念公園や原爆資料館を訪れ、広島、長崎の両市長や被爆者らが見守る中で慰霊碑に花を手向けた▼原爆を投下したことに対する謝罪はなかった。投下によって多くの国民の命が救われたという米国民の感情に配慮したためだが、訪問を契機に「核兵器へのない世界」構築に向けた一里塚としてほしい▼任期満了が近いという側面は否めないが、オバマ氏ゆえの訪問といっても差し支えはないだろう。次期大統領選は共和党のトランプ氏が、民主党のクリントン氏を世論調査で上回り始めている▼「中国や北朝鮮から自国を防衛するために、日本や韓国の核兵器保有を容認する」と主張するトランプ氏。そんな〝手っ取り早いやり方〟を、唯一の被爆国として日本は受け入れる訳にいくまい。次期大統領に誰がなろうと、核に頼らない世界平和に向けて米国に求められる役割は一層大きくなる。(C)