臥牛山4月16日・地震とネット
15日夜に熊本を襲った地震は、東日本大震災以来の「震度7」を記録した。津波の被害こそ免れたが断続的に余震が続き、テレビ画面から流れる多くの家屋が倒壊している惨状に身が震える思いだった▼東日本大震災の際、テレビのネット配信を巡り議論が起きたことを覚えているだろうか。地震発生からわずか17分後、広島の中学生がネット動画配信を通じてNHKのニュースを流した行為が、違法ということで問題になった。しかしこれが被災者の共感を得ると、NHKがこれを追認。数時間後にはNHK自体が動画配信をスタートさせた▼この時の教訓からか、今回は地震発生直後に、NHKをはじめ各民放がネット配信を開始。被災場所が停電していたとしても、電波と受信装置さえあれば情報を得られる状況となった▼一方SNS上では悪質なデマが流される問題が続出。「井戸に毒が入れられた」「動物園からライオンが逃げ出した」などの誤情報があっという間に拡散し、被災者の混乱を拡大させた▼ITの発達により情報伝達は飛躍的にスピードアップした。ただし、その使い方を誤れば、混乱を招くスピードも加速する。今回の震災後に、しっかりとした検証作業が必要となるだろう。(U)