臥牛山2月24日・港まつりの名物男、逝く。
(8分音符)いか刺し、塩辛、いかソーメン、もひとつおまけにいかぽっぽ―。覚えやすい振り付けと歌詞に加え、ビートの効いた踊りやすい曲。誕生から36年目を迎える函館いか踊りは、今やすっかり市民に浸透した▼いか踊りを作曲した高橋徹(あきら)さんが15日に亡くなった。毎年の港まつりでパレードの最後を飾る自由参加の運行トラックからマイクを握り、踊り手を盛り上げた名物男だった▼そんな彼が30数年間、メディアの取材に応じなかったのには理由があった。いか踊りを始めた当初、当時の新聞に「いか踊りは港まつりにふさわしくない」との論調で記事を書かれ、人知れず悔しさを抱えていたという▼彼は昨年、初めて本紙の取材に応じた。曲の創作秘話とともに、祭りを学ぶため1年間青森に住んでねぶた作りに携わったり、気持ち良く踊ってもらうために曲の長さを調節していたことなど、影の努力も教えてくれた▼自由参加を続ける責任を感じていた高橋さん。「俺の後釜ができるまでは頑張っていきたい」と話していたが、後継者を作る前にこの世を去った。まだまだやりたかったはずだ。その思いに応えるためにも、今年のパレードは最高の盛り上がりで彼を送り出そう。合掌。(C)