臥牛山1月9日・特殊詐欺0年に
新しい年を迎えて願うことは多々ある。罪のない人が命を落とし、難民を生み出す国家間、民族間紛争が無くなり、大災害に見舞われない年に。さらに凶悪な事件は起きず、事故も減ってほしい▼国際、国内の政治問題はさておき、身近で願う一つに、高齢者を狙う振り込めなどの特殊詐欺の掃滅がある。というのも、被害額が依然として多額なこともさることながら、弱者を標的にした、人間として許せない卑劣な犯罪だから▼道内だけで昨年の被害額は、前年に比べ3億円ほど少なかったとはいえ9億円超。被害に遭った高齢者は200人を超える。生活を切り詰め、何年もかけ、こつこつ貯めた老後の安心資金を失った落胆は想像に難くない▼だから許せなく、社会の協力があるのもそれ故。さまざまな啓蒙活動や金融機関、宅配業者の対応など防止の輪は広がっている。実際に被害を未然に防いだ件数は増加、逮捕者も増えている▼だが、問題の根は深い。被害の報道に接する度に胸が痛み、犯人には怒りが込み上げる。その思いを共有することこそ防止対策であり、掃滅への原点。高齢者に辛く悲しい思いをさせたくない…社会のさらなる目配りが求められている。(A)