歴史的建造物の利活用を手掛ける風のヘリテージ(本社・大阪市、他力野淳社長)は、函館市元町の国指定重要文化財「旧相馬家住宅」を改装し、宿泊施設「旧相馬家 Kazeno Heritage(風のヘリテージ)」として3月1日にオープンする。明治期の豪商の粋を集めた建築美を、一日3組限定で独り占めできる「泊まれる文化財」として、地域の歴史継承と観光活性化の両立を目指す。
同住宅は、幕末明治期に財を築いた豪商・初代相馬哲平(1833~1921年)の私邸。函館港を一望できる立地にあり、増築部分や重文の土蔵を含め、全3室のスイート仕様に改装した。客室は70~132平方メートルで、定員は2~4人。内装には同施設ゆかりの江差屏風のレプリカや伝統工芸品を配し、歴史の重みと現代の快適性を融合させた。また、建物保存のため火気を使う調理設備は置かず、食事は周辺の名店を紹介する「泊食分離」のスタイルを採用。宿泊客は夜間、重文の母屋をラウンジとして利用できる。
同住宅は市内で不動産業を営む東出伸司さんが約16年所有し、高齢のため不動産クラウドファンディングを手掛けるLEVECHY(レベチー、東京、高将司社長)が運営を引き継いだ。SPC(特定目的会社)を設立して同住宅の維持保存に向け個人投資家から資金を募る仕組みを導入しており、今年も新たな募集を予定するとともに、宿泊施設の運営を風のヘリテージ社が担う。
同社は14日付で、それまでの「バリューマネジメント」から社名を変更した。「滞在が文化財の継承に直結する『再生型観光』を実現したい」としており、今後も母屋の一般公開を継続する。予約は今月4日から公式サイトで開始している。(千葉卓陽)



