フル、ハーフ同時開催3年目となった1日の「2018函館マラソン」は、約7100人が初夏の函館を駆け抜け、フルで男女とも大会新記録が出るなど成功裏に大会を終えた。出場者の完走率は昨年より3・2ポイント上昇し、94・8%(7139人中6767人)。レースは大雨に見舞われたが、気持ち良い天然シャワーとなり、高温多湿の中のランよりも好タイムにつながった。
昨年の大会は蒸し暑く湿度の高いレースとなり、脱水症などで救急搬送された選手は過去最多の14人に上った。今年は6人で、うち1人は重篤な状態だったが、意識は戻ったという。
安全対策を重視し、走りながら医療支援を行う「ランニングドクター」は昨年より13人多い65人が参加。コース上の固定救護所は6カ所設け、利用実績がない1カ所を廃止し他にマンパワーを振り分けて万全の態勢を構築した。
豪雨の影響で思わぬ影響も。ゴール後のランナーが疲れを癒す「おもてなしフェスタ」を開催した千代台公園多目的広場は、水はけが良い場所にもかかわらず、多くの人が歩いたことでぬかるみが発生。代替場所の確保など、大雨が降った場合の対応として課題を残した。
函館中央、函館西両署によると、大会に伴う交通規制に関し、う回路などで渋滞は発生せず、市民からの苦情もなかったという。
宿泊施設や飲食店は″マラソン特需〟に沸いた。市内で7カ所の宿泊施設を展開するホテルテトラは、開催前日の予約は全館ほぼ満室。梁川町の店舗では、エントリー開始とともに予約の電話が増え始め、5月には全84室が満室になったという。店舗責任者の蒲生豊さんは「宿泊施設にとって、函館マラソンの効果は非常に大きい」と話す。
自家醸造クラフトビールを提供する湯川町1のカフェ「Endeavor(エンデバー)函館店」では、マラソン終了後にゼッケンを持ってきた人に、つまみを提供するサービスを実施。原みづほ店長は「昼からマラソン終わりにビールを楽しみたいお客さまでにぎわった」。
市教委フルマラソン担当は「大雨という条件下でもランナーから一定の評価をもらい、感謝したい。参加者の声をまとめ、改善点を検証し、より良い大会づくりを目指す」としている。(山崎大和、金子真人)