本年度当初で2億6000万円の赤字予算を組む市立函館病院について、今年4~10月の水準で事業実績が続いた場合、年間で12億円以上の赤字が見込まれることが17日、分かった患者数の減少に加え支出額が年度当初の想定よりも増大しているためで、2期連続で7億円を超える大幅赤字が確実な情勢だ
同日、同病院で開かれた市病院事業経営改革評価委員会(岩田州夫委員長)で、木村純院長が示した
本年度上半期(4~9月)の経営実績は当初目標を4億800万円下回った1日当たりの入院患者数の目標は480人に設定したが、道南ドクターヘリ導入に伴う入院制限が影響し、入院患者数の回復が予想よりも遅れたことで425人と大幅減入院収益は当初予算を6億600万円下回る53億7000万円にとどまったほか、新薬の価格上昇などで、医業費用の材料費が同2億2500万円増の27億600万円に膨らんだ
一方、10月の入院件数は1002件と年度内最多となり、収入は1入院当たり105万円、手術件数260件と高い水準で推移この実績が来年3月まで半年間続くと、赤字額は7億1000万円に圧縮される見通しという木村院長は「現在の入院単価は全国的にも高く、このままいけば大幅な収益増となる」とした上で「コスト削減に向けた取り組みを根本的に見直す必要性がある」と説明した
ただ、国が定める診断群分類別包括評価(DPC)の係数が下がるなどして、昨年度に8億3000万円の赤字を計上した影響は本年度も続く市病院局は支出幅を抑えるため7月から3年間、民間業者に薬品や診療材料の価格交渉を委託し、一括調達に切り替えているが、委員からは「今後委託を更新しなくてもいいよう、この3年間で病院自らが価格交渉を行える人材の育成に努めるべき」などと意見が上がった(蝦名達也)