函館トライアスロンクラブの前田紀幸さん(60)=NTT東日本北海道勤務=と稲岡正己さん(67)=函館五稜郭病院医師=が、5月4日にスペイン・ポンテベドラで開かれる「2019ITU世界ロングディスタンストライアスロン選手権」の年齢別日本代表として出場する。2人とも「完走目指して頑張りたい」と毎日練習に励んでいる。
2人は道内で行われた、最も過酷なレース「アイアンマン」(走行距離226・2キロ)を完走した実力者。昨年の国内大会でともに上位入賞を果たし、選考基準をクリア。今大会の出場資格を獲得した。
同選手権はスペイン西部の都市ポンテベドラが舞台。街中の川を泳ぐ3キロのスイム、山間部を走る113キロのバイク、最後に再び街中に戻り30キロを走るランを連続して行う、過酷なレース。ゴールするまでに8~10時間はかかるという。
60~64歳の部に出場する前田さんは競技歴28年のベテランで、函館トライアスロン連合の会長も務める。17年にオリンピック種目と同距離のスタンダード・ディスタンス(51・5キロ)の世界大会を完走したことから「さらに上のステージにチャレンジしたい」と2年越しの挑戦が実った。
前田さんは「1つの種目ではなかなかかなわないが、3つあるトライアスロンでは上位に食い込める可能性もある」と競技の魅力を語る。早朝に自転車、仕事後にはランニングやプールで鍛え「何とか最後まで走り切りたい」と意欲を燃やす。
鍵を握るのは最初の種目「スイム」。競技歴12年目の稲岡さんは初の海外レースで「現地の水温は15~19度と聞いた。非常に低く、水に顔をつけるのも大変」と驚くが、自宅で冷水を浴びる訓練を積んでおり、「なんとか泳ぎ切って完走目指したい」とやる気を見せる。
稲岡さんは働き詰めだった10年前、健康のためにと競技を始めた。「完走後はもうやりたくないと思うほどつらい。でも1週間も経てば、また走りたくなってしまう」とトライアスロンの不思議な魅力に引かれている。世界に挑むにあたって「力試しのつもりで精いっぱい頑張りたい」と話している。(佐々木 司)