• 函館新聞デジタル
    ご購読申込はこちら
  • 3/15
    函新ウイークリーレビュー
  • 3月のプレゼント
    映画鑑賞券
  • 求人情報
    記者、マーケティングスタッフ募集

荒井三津子さん・暮らしのパレット/日本の意匠

 先日の家庭懐石のクラスでは写真の椀を使った。夏なので波の柄が涼しげで良いだろうと気軽に選んだが、この模様、実は奥が深い。波と車輪の組み合わせで、「源氏車」「波切り車」などと呼ばれる。
 帯や着物にも多々見られる。おめでたい柄だと言われても、子供の頃は、大嵐で壊れた車輪にも見え、華やかな晴れ着の模様に使われるのか理解できなかった。だが義母が残した懐石の椀にこの模様を見つけたとき、改めて調べて納得した。大きな波にのまれて漂う車輪ではなかったのだ。
 貴族たちが使った牛車の車輪は木製だったため、使わない時は乾燥を防ぐために車輪をはずして水に浸けておいたらしい。だとすれば、これは大海原ではなく、川の波である。流れる水は永遠を意味し、華やかな貴族の暮らしを彩った牛車を思わせる図ということになる。
 漆器の場合は、この模様に螺鈿(らでん)を埋め込む込むことが多いらしく、我が家の椀の蓋(ふた)にも小さい螺鈿がいくつか光っている。怖いイメージが一転し、華やかで縁起の良いものに見えてきた。以来夏だけでなく、お祝いの食卓には頻繁に使うようにしている。季節の植物がともに描かれているときはその季節に使うが、基本的に流水と車輪の模様は季節を問わないようだ。
 それにしても水を模様化した先人の感覚はすばらしい。海に囲まれた小さい稲作の国にとって水は古くから脅威であり、祀(まつ)らずにはいられない対象だったのだろう。小さなお椀が日本文化を饒舌に語っている。この国は面白い。(生活デザイナー)










      最新記事











      きょうの人生指針/誕生月占い

      函館新聞デジタルとは
      函館新聞 デジタル お申込み
      ご購読申し込み月は無料

      最新ニュース

      アクセスランキング

      1. 北斗市市渡で車両火災、男性1人が軽傷
      2. 函館市人事(4月1日)
      3. お気に入りの店をはしご 「大門バル」にぎわう
      4. 恩師と喜びを分かち合う 公立高校が合格発表
      5. 函教大で卒業式 希望胸に302人巣立つ
      6. MT水島興業が破産手続き開始決定
      7. 心房細動による脳梗塞を予防 道南初、手術成功 函病、ウルフ―オオツカ手術Ⅱ法で
      8. 感謝と思い出を胸に一歩 函館市内の小学校で卒業式
      9. 不法残留容疑で中国籍の女を現行犯逮捕 西署
      10. キハ150形、函館地区で運行開始

      函館新聞宅配購読お申込み

      お試し(1週間)もございます。

      フリーマガジン「ハコラク」も毎月お届け

      はこしんフォトサービス
      フォトサービス

      掲載された写真を購入できます

      はこしんバックナンバー
      バックナンバー

      過去3ヵ月以内の函館新聞を購入

      はこしんポスト
      ポスト

      取材依頼・情報提供・お問い合わせ

      国内外の主要ニュース


      クローズアップ


      ニュースカレンダー

      紙面ビューア

      函館新聞紙面

      3月19日の紙面

      SNS公式アカウント

      イベントカレンダー

      ※イベント中止および延期となる場合がございますので、詳細は主催者へ直接ご確認頂きますようお願い申し上げます。

      関連サイト