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荒井三津子さん・暮らしのパレット/花壇

 去年の今頃は何をしていただろうか。春先はマスクを買うために朝6時からドラッグストアに並んだという人もいたが、秋にはきっと騒ぎは収まるだろう、今しばらくの辛抱だと皆同じ方を向いて耐えていたように思う。ウイルスと細菌の違いや、検査の難しさをいくら説明されても、そんなことより薬やワクチンさえあればと誰もが望んでいた。
 当初の民間のPCR検査は何万円だったか驚くような価格だった。それが街角でも検査ができるようになったのは良いが、精度に疑問があるとか、その帰りに感染するかもしれないなど右往左往は続いている。なぜ国産のワクチンは作られないのかという議論もないまま、やっと手に入れたワクチンを、今度はいつどこで? の大騒ぎ。潤沢(じゅんたく)に行き渡ると説明されても混乱と不安は消えない。オリンピックの選手や関係者には甘い入国や移動が許されるなら、私たちの辛抱は何だったのかと思わずにはいられないが、そんな声はどこにも届かない。
 その昔、この国にも国や政治に対する疑問と憤りを大声で叫ぶ若者が大勢いた。その手段は間違っていたが、あの時代にこんなウイルス騒動が起こったらどうだったのだろう。そんなことを考えながらの帰途、道端の花壇に目が止まった。先の見えない私たちの不安をよそに今年もしっかり咲いている。来年もきっと同じように咲くのだろう。こんな素晴らしいことがあるだろうか。「いつも通り」「今まで通り」がどれほど幸せか痛感している。(生活デザイナー)

      暮らしのパレット











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