近くを通ったら必ず立ち寄る餅菓子店がある。母の日には巨大な桜もちも並んでいた。一緒に買ったイチゴ入りの桜もちも家族には好評だったが、さていつごろからイチゴ入りの大福や桜もちが売られるようになったのかが話題になった。
調べてみると諸説あった。お菓子には特許がないのか、フルーツ入りの餅菓子は全国で売られている。イチゴなら一個丸ごと餡(あん)に包まれているものもあれば、上部からイチゴが見えているものもある。キウイ入りもミカン入りも食べたことがあるが、どれもおいしかった。酸味のある果物と甘い餡を組み合わせる発想は、当初どれほどの衝撃的だったことだろう。
新しいモノが生まれる時は、それが何であっても周囲は驚き、批判や反対意見があるものだ。アンパンも焼きそばパンも、おいしいと信念をもって作った人たちのおかげで、今私たちは、古今東西が融合した絶品を楽しめているのだ。キモノの着方もそうだ。かつてはキモノにピアスをする人はほとんどいなかったが今は普通である。あえてキモノにハイヒールやブーツ、帽子を合わせて楽しむ人たちも増えてきた。
昔は違ったとか、本来はそういうものではないなどと否定しても、時代が求めるものが選択される。そして必要とされ、評価されれば残っていく。これは生物の進化と同じプロセスである。生き残るためには姿を変えるのも一つの方法なのだ。これからも次々に「新種」のお菓子が誕生するのだろう。でも、生存競争は厳しい。(生活デザイナー)