月に1度、食卓美学講座を開いている。この1年は周囲の感染状況をみて休講にしたり、十分な対策をして人数制限したりするなど工夫して、なんとか継続してきた。リモートの画面だけでは絶対に伝えられないことがある。久しぶりに会えた仲間たちは、マスクをしていても皆さん笑顔なのがよくわかった。小声で言葉は少なめ。お互いに気をつかいながらも話は弾んだ。
今月は食卓の縁起がテーマだった。お赤飯は小豆か甘納豆か、いつも家族で議論になるという人や、婚家のお雑煮の具材や味付けにはいまだに馴染めない人、豚肉の「焼き鳥」に仰天したという九州出身者など、話題は尽きず、暮らし方全般に話題は広がった。
葬儀の香典に領収書を出すことや、内祝いの熨斗(のし)の短冊を壁に貼ること、葬儀やお祝いに届いた花輪の花を抜いて持ち帰ることなど、北海道特有の風習も話題になった。良し悪しではなく、それぞれの土地特有の習慣は実に興味深い。自分たちのルーツや日々の暮らしを語る口調はどなたも楽しそうで饒(じょう)舌だった。外に出て誰かと直接話をする機会が少ないからかもしれないが、こんな時代だからこそ、日々の暮らし方をしっかり見つめ直しているからではないだろうか。
節分用の駄菓子を料理に見立て、各自洋皿に盛り付けてみた。今年は「今風」「私流」でよい。手強い「邪気」を払って、なんとか閉塞的な日々に突破口を見つけたいものだ。(生活デザイナー)