誰に会ってもあいさつは同じである。大変なことになったね、いつまで続くのかしら、とお互いの健康と仕事を気遣い合う。北海道は以前より落ち着いたように見えるが油断はできない。陸路空路で人の往来は頻繁である。かつてはそれが活気の源だったが、今は国内外の自由な往来こそが不安要因である。
価値観の見直しがあちこちで求められている。子供の遊ばせ方、家族との接し方、料理の仕方が大きく変わったという人も多い。昔ながらの布製のマスクや手作りマスクも注目され始めた。価値観といえば、ウイルスとは関係ないが、便利さが評価されていたプラスチック容器やペットボトルも自然環境論からいえば今は悪者である。価値観は時代と状況でかくも変わる。安心や安全も同じである。永遠に続くことなどありえない。
オンラインで学習や仕事ができるなら、学校や会社に定時を目指して満員電車に揺られて行く必要はあるのか。今我慢している会合や旅などは、いったいどんな意味を持つものだったのか。考えること満載である。
ウイルスの拡散は、突然の地震や災害とは異質の恐怖である。避難のしようがない。収束後の私たちの価値観の変化も怖い。何事も無かったかのように元に戻るとしたらそれはもっと怖い。怖いことばかりである。みんなが不安と戦っている。今はじっとしているしかない。こんな時はせめてお茶。お茶の時間がとても増えた。(生活デザイナー)