不要不急の外出は控えようと言われて、多くの人たちが従っている。卒業式は中止になったり卒業生だけで執り行われたり。振り袖やはかまを用意し、厳かな式典と写真撮影を楽しみにしていた親御さんの落胆はいかばかりだっただろうか。
これから先も、ウイルスの猛威はもちろん、今は想像もしていない事象で、当たり前のことへの制限が多々起こると思っていたほうが良いだろう。我慢せよという「自粛」レベルの警告ではなく、「開催不可能」とか「参加禁止」となると万事休すである。海外との往来も同様で、出入国禁止の決定には成すすべもない。その状況に皆耐えている。期限の見えない忍耐は辛い。不平不満や苦情を言う相手が見えない今、怒りのやり場もない。
そんな中、「不要不急」の四文字を頭に、何が必要か、何が大切か、あれこれ優先順位をつけるのが日常化した人も多いと思う。身内に病人がいれば出掛けて行くし、他に手段がなければ公共の乗り物にも乗るしかない。北海道は緊急事態宣言が終了されたとはいえ、緊張感は当分続くだろう。
桜の開花が本州より遅いことが今年はありがたい。せめて桜の頃には収束していてほしい。「行きたいところに行ける」「会いたい人に会える」ことがどれほど幸せか、今回のことで皆痛感したと思う。こんな時、一輪の花がうれしい。春はそこまで来ている。(生活デザイナー)