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荒井三津子さん・暮らしのパレット/「日本の美意識」

 ついに雪が降った。これからが長い。3月、いや4月のはじめまでは雪と付き合わなければならない。ついこの間まであちこちの紅葉を楽しんだのに、時の流れは速い。
 「君よ、春が来るのだ。冬の後には春が来るのだ。」という有島武郎の「生まれ出づる悩み」の有名な一節を毎年この季節、決まって思い出す。冬がなければ春は来ない。だから寒さと雪は我慢しよう。とはいえ、北国の秋は短かすぎないか。本州ならば霜月も秋色や秋の柄の食器を使えるのだが、雪が降ってしまえばなんとなく使いづらい。季節の先取りは粋でおしゃれとされるが、遅れてはいけない。ひな人形も早々と飾るのはよいが、翌日にはすぐに片付けなければいけないようだ。いろいろな生活習慣が急速に消えてゆく中で、季節に関するこだわりはしっかり守られている。キモノの柄や素材も同じである。
 写真の食器は義母から引き継いだものだが、毎年9月後半から雪が降るまで使っている。秋しか使えないぜいたくな器のようだが裏側には満開の桜の木が描かれている。実は紅葉と桜の組み合わせはキモノにも食器にも少なくない。そこに流水も加えて描かれていることもある。
 このような柄は四季を通じて使うことができる。クリスマス用の食器は海外にもあるが、明確に季節を限定する絵柄を食器やキモノに描く国は他にあるだろうか。四季が明確であればこそ生まれ、愛されてきた意匠だろう。すばらしい美意識だと思う。(生活デザイナー)

      暮らしのパレット

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