今、北海道は紅葉を楽しむ観光客であふれている。海外からの観光客は車道も歩道もおかまいなしで撮影するので危険なこともあるようだが、それほど木々は美しい。
先日、北海道の自然と環境を学ぶ授業で、学生たちに葉の色が変わる理由について聞いたところ、「秋だから」という答えが多くて笑ってしまった。カレンダーのない植物がどのように秋を認識するのかと問い直したら、気温と日照時間の変化だとやっと少し大学生らしい答えが返ってきてホッとした。
私たちを魅了するカラフルな木々は落葉広葉樹である。彼らは葉を落とす前に素晴らしいアートを見せてくれる。もともと緑の葉には緑色のクロロフィルと黄色いカロチノイドという色素がある。光合成を活発に行う夏の間はクロロフィルが大活躍して、カロチノイドは隠れている。それが季節の変化とともにバランスが逆転して黄色が目立ってくる。簡単に言えばそれが葉が黄色くなる仕組みである。赤くなるのは新たにアントシアンという色素が形成されるからだ。3種類の色素が関わる自然のアートである。
落葉にはオーキシンとエチレンというホルモンが関与している。木々はそれぞれの環境に合わせて身を守り、子孫を残す方法を持っている。そして私たちは葉の色の変化や落葉から、時の流れを視覚的に感じ取る。私たちも自然の一員なのだとしみじみ思うのがこの季節である。(生活デザイナー)