非常勤で週に一度教えている大学から科目変更の依頼があった。今まで教えてきた環境学を、新年度から「北海道の自然」という科目名に変えて、内容も新たに開講してほしいという。北海道命名から百五十年という節目の年を迎えたこともあろうが、自分たちが暮らす北海道の豊かな自然や魅力的な食材、観光資源としての可能性などを学生たちに考えさせてほしいということかと私は理解した。
だが、地質学的歴史、気候、水産業、農業、酪農、動植物、食生活など、北海道の個々の内容に関する名著や良書はたくさんあるが、全部を網羅する教科書が探せない。それならば、15回分の授業の資料は私が用意するしかない。北海道にはどんな恐竜がいたのか、雪の結晶はなぜできるのか、北海道米はなぜこんなに美味しくなったのか、酪農はどのように発展したのか、豊かな海の恵みの秘密は何か、かわいい鳥や美しい樹木、草花をどれくらい知っているか、クマやサケについては何を知っているのかなど、学生たちと考えたいテーマが次々に浮かんで、久しぶりに心が踊った。
長く生物学や食文化について教えてきたが、北海道に舞台を絞ってまとめる機会が、ついに来たのかもしれない。今年は北海道の魅力探訪を楽しもうと思う。今朝は近所の魚屋さんで北国の海の豊かさに感激した。北海道の魅力は限りない。しっかり咀嚼(そしゃく)してから学生たちに伝え、その未来を共に考えたい。今年の桜は足早やだという。あと少しの辛抱である。(生活デザイナー)