街は一斉にクリスマス色になった。だが子供たちが大きくなった今は、サンタクロースへの手紙とその返事に悩むこともなくなり、なんだか寂しい。
寂しいと言えば、最近友人たちが、もう何も欲しくないと言い始めた。終活という言葉が広まり、新しいモノは買わないという人は確かに増えている。実は私も欲しいモノがなくなり、そのことが気になっていた。仕事だ、家事だと時間に追われた日々から解放されると、その自由に反比例して物欲はなくなるのだろうか。
友人たちの言葉を聞いていてこれはまずいと思った。適切な買い物には気持ちを鼓舞させる機能があるからだ。そんな時、中国の旅で写真のお茶セットを見つけた。だが無駄遣いに思えて旅の間中悩み、最後の日、思い切って購入した。数千円だったが、この買い物が私を想定外に元気にしてくれた。
夫にも同様のことが起こった。もう一生洋服は買わないと言っていたが、ダイエットの効果が出て少し痩せたのでキレイな色のジャケットをバーゲンで買った。すると前向きな発言が明らかに増えたように思う。気持ちが沈んでいるときは無理してでも笑顔を作ると心が楽になるという。
新しいモノにも同じ効果がある。サンタクロースはたぶんわが家には来ないので、クリスマスには何か自分にプレゼントをしようと思う。今は野菜のスライサーが欲しい。(生活デザイナー)