ついにこんな日が来たかと仰天した。東京のホテルでのことである。チェックインのカウンターで水の販売機の場所を聞いたところ、連絡をもらえばロボットが届けるという。フロントの横にふた付きのごみ箱状の物体。それが「ハリー」と言う名のロボットで、水、ビール、毛布などを中に入れて運ぶというのだ。
今はヒマだから部屋まで案内させるとのこと。9階の部屋までロボットが案内? 半信半疑で待っていると、ハリーは動き出した。エレベーターでは先に乗っていた人たちを驚かせ、みんなを笑顔にした。長い廊下をひたすら先導し、部屋の前で止まった。その途端、室内で電話が鳴った。鍵を開け慌てて電話に出ると「ハリーです。到着しました」との声。外で待っているハリーの上面の画面には「荷物を受け取ってください」とある。水を取り出すと画面は「私の配達はいかがですか」に変わった。星5つを押すと「やったあ!」と喜び、「ありがとうございます。またのご利用をお待ちしております」と完璧な対応。
写真は仕事を終えて帰っていくハリーの後ろ姿である。予期せぬ経験に少なからず感動した。そして同時に新しい時代の扉を開けたような気にもなった。10年後なくなる職業ランキングを先日見たばかりだが、人工知能とロボットの時代が一気に現実味をおびてきた。言い換えれば人間の時代はこれからが勝負である。人間にしかできないことはたくさんある。と言いつつ少し考え込んでしまった。情けない。(生活デザイナー)