自宅の修復を始めた昨年末から、わが家の大整理を飽きずに続けている。一人っ子同士の夫婦はそれぞれの実家の荷物を全部抱え込んでいる。仕事や介護で長く別居生活をしていたので、夫には夫の生活財があり、二人の娘たちがそれぞれ一人暮らしをしていた時の荷物もわが家に集まってしまった。その都度片付ければよかったのだが、日々の雑事に追われ、何とか空間を作って暮らして来た。
だがリフォームに伴い、ついに逃げられなくなった。周囲は待ってましたとばかりに、捨てろ捨てろの大合唱。数カ月かかってやっとラストスパートに入ったのだが、この段階に来てからが長い。この欄にも何度も書いてきたが、漆器や食器が捨てられない。そこで自宅教室に写真のようなコーナーを作り、ガレージセールのようなことをやってみた。漆器作家から預かったものもあり、なかなか壮観。ほかにも本や雑貨などもあり、勉強会の後みんなでワイワイと楽しい時間を過ごした。
だが、素敵、安い、欲しいという声はたくさんあるのに食器や漆器類はほとんど売れなかった。口をそろえて目下断捨離中、終活中とのこと。まだ皆さん私よりはるかに若いのに、強力なブレーキである。モノを少なくしてシンプルに暮らすのは魅力的である。だがワクワクするものに出会ったら、ドキドキしながら買うこと、そして使うことには大きな意味があるだろう。時代が作ったこの風潮に誰か反旗を翻してくれはしまいか。(生活デザイナー)