リサイクルショップでかわいいドレスを見つけた。結婚式のフラワーガール用のドレスである。ウエディングドレスと同じ素材で丁寧に作られている。1000円だった。花の撮影の背景にしたくて購入したが予想通り、どんな花を添えても引き立つ。
子供の成長は早い。冠婚葬祭用の洋服など収納や保管を考えればレンタルがよい。だが丁寧にあつらえ、大切に何度か着て、その後何か他の形に作り替えることができるとしたら、そのほうが良いだろう。
ウエディングドレスはベビー服やお布団などに作り替えるのよと、昔デザインを勉強していたとき師匠が話してくれた。なんて素敵なのかと若い私は感動した。とんでもなく高額のレンタルドレスもあるし、意外なほど安く仕立てることができるドレスもある。
「着る」ことを今一度考えてみてはどうだろうか。先日ある表彰式に出くわしたのだが、表彰される子供たちが皆、いわゆる普段着に履き慣れた運動靴で走り回っていて仰天した。付き添う親たちも特別な装いではなかった。表彰式をハレの日と位置づけるのも行き過ぎかもしれないが、お祝いのうれしい日であることは間違いなかろう。
「衣食住」とひとことで言う。だが食に関しては安心安全にこだわり、冠婚葬祭や行事食などを大切にするのに、着ることに関しては「手抜き」が進んではいまいか。非日常の緊張感は着ることで学べる。着るもので、公の場でのふるまいや敬語も学べるはずである。最近、私の老婆心は止まらない。(生活デザイナー)