函館市電の人気車両「箱館ハイカラ號(ごう)」の今季運行が15日、始まった。明治末に客車として製造された当時の姿を再現したレトロな車両は「ガタン、ゴトン」と走行音を響かせて、市民に観光シーズンの到来を告げている。
1918(大正7)年に函館の街を走り始めて、今年で98年。客車やササラ電車、93年からは現在の姿となり、車両自体も役割を変えながら、函館の変化を見届けてきた。車内には、レトロな制服の専属運転士と女性車掌が乗り込み、車掌が停車や発車の合図として信鈴を鳴らす様子も楽しめる。台車が1つしかなく、独特の揺れや音も人気だ。
新たに誕生した函館アリーナや、昔ながらの雰囲気を残す西部地区の街並みまで、沿線のさまざまな風景に溶け込む赤い車体は市民や観光客を喜ばせている。
今季も10月31日まで1日4運行する。繁忙期を除く毎週火、水曜日と荒天時は運休。問い合わせは市企業局交通部事業課(☎0138・52・1273)へ。(今井正一)