10月から耐震改修工事や修復工事に入る国重要文化財の旧函館区公会堂(函館市元町)が9月30日、営業を終えた。普段と変わらず多くの観光客が訪れ、明治末に函館の建築技術の粋を集めた建物を満喫。休館前最後のコンサートにも多くの人が訪れた。
市文化・スポーツ振興財団が主催する公会堂コンサートには「HAKODATE ENSEMBLE Lab(ハコダテアンサンブルラボ、小野寺由美代表)の8人の奏者が出演した。
4曲で構成した前半の最後は、2011年から毎年演奏を続ける「A SONG FOR JAPAN(日本にささぐ歌)」(スティーブン・フェルヘルスト作曲)を披露。胆振東部地震をはじめとする多くの災害で亡くなった人に思いを寄せた。後半は映画音楽など親しみのある曲で編成し、アンコールを求める拍手には北島三郎さんの代表曲「函館の女」で応えた。
小野寺代表は「たくさんの人に演奏を楽しんでもらえたと思う。偶然訪れた観光客にも演奏を聞いてもらえるのが公会堂の魅力。リニューアル後にはこの場所でぜひ演奏会を開きたい」と話した。
また、最終日も観光客らがドレスを借りて写真撮影を楽しんだり、バルコニーからの眺めを満喫。会の設立時から来館者の案内を続けている函館観光ボランティア「一會の会」の佐藤喜久恵会長は「30年分の思い出があるので(休館は)感慨深い。公会堂はこれからも長く守っていかなくてはならない函館の宝物です」と話していた。
長期休館後のリニューアルオープンは2021年春を予定している。(今井正一)