函館市などは27日、フォーポイントバイシェラトン函館で、観光ホスピタリティ講演会を開いた。市内の大船、垣ノ島両遺跡を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録について、道縄文世界遺産推進室特別研究員の阿部千春さんが講演。市民や観光関係者ら約90人が聴講した。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産登録に向け、まずは政府の国内推薦を受ける必要がある。7月に予定されている今年の国内審査について、阿部さんは「金を中心とする佐渡鉱山の遺跡群」(新潟)と「百舌鳥・古市古墳群」(大阪)が有力なライバルになるとし、「国内外の情勢を踏まえると、(縄文遺跡群が)頭一つ抜けている」との見通しを示した。
縄文時代早期―後期の約6000年間にわたる集落跡の垣ノ島遺跡(臼尻町)について、針などの道具を捨てる際に火を焚くなどの儀式をした形跡があったことを説明し、「モノにも魂が宿り、感謝する心が縄文の人たちにあった。遺跡を通して、古来からある日本人の心を、新しい価値・魅力として発信していくことが大切と考える」と述べた。
このほか、道教育大函館校国際地域学科の池ノ上真一准教授、三内丸山応援隊(青森)の一町田工代表理事、市縄文文化交流センターの田中哲郎館長によるフリートークも行われた。(金子真人)