函館がブリの一大産地であることを知らない一般消費者が半数以上に上ることが、渡島総合振興局のアンケートで分かった。振興局が2018年度から独自事業としてブリの認知度向上を進めているが、十分に浸透していない実態が浮き彫りになった。また、水産加工業者などの過半数がブリを使った新商品の開発に興味がないと答え、振興局は試作用原料や漁獲データの提供など支援を強化する考えだ。
一般消費者向けアンケートは昨秋の「ブリフェス」「親子地ブリツアー」、はこだて市民健幸大学、食材もってけ市の会場で来場者に用紙を配り、49人が回答した。回答者の91%が「ブリが好き」と答えた一方、57%が函館がブリの一大産地であることを知らなかった。1年間にブリを食べる機会を聞いたところ、4~6回(31%)が最も多く、渡島でのブリの漁期(9~12月)には月に1回程度食べる傾向が分かった。購入したい価格は、100円~199円(52%)が最多で100円台が買いやすい価格といえる。
振興局職員が水産加工業者や研究機関などと打ち合わせをした際のアンケート(随時、回答45人)では、自由記述で「臭いが気にならない」という意見もある一方、「ツナと変わりがないためブリらしさを生かせると良い」という声もあり、ブリオイル漬け缶詰などの商品を工夫・改良し、ツナ缶との違いを明確にする必要性が浮かび上がった。
函館特産食品工業協同組合と函館水産市場仲卸協同組合の加盟企業82社へのアンケート(今年1月実施)では、缶詰について塩加減がちょうど良い(54%)、油の量がちょうど良い(50%)、ほくし身の大きさがちょうど良い(46%)、購入したい価格100円~199円(77%)がいずれも最多となり、おおむね高評価だったが、新商品の開発に興味がない人は62%に達した。理由として「漁獲量、時期、価格が安定しない」「ヒスタミンや骨、糸状虫の問題があり品質管理が大変」「ブリの扱いになじみがない、設備もない」「歩留まりの悪さが予想される」が挙がった。
振興局水産課の石毛友里絵主事は「函館でブリの水揚げの高水準が今後も継続するか不透明な上、製品を作っても売れるのかという不安な気持ちが背景にある」と分析した上で「試作用原料の提供を続け、漁獲量や製造技術に関する情報も提示しながら加工業者の取り組みづらさを払拭(ふっしょく)できるよう努めたい」と話している。(山崎大和)