【七飯】農業の人手不足を解決し、障害者の働く場を確保する「農福連携」の取り組みが、七飯町内で2年目に入った。JA新はこだて七飯基幹支店と社会福祉法人函館恵愛会(函館)が施設外就労の契約を結び、普段はホテルで働く障害者をJA農産センター(町大中山7)で受け入れ、カーネーションの共選作業を行っている。初年度の経験を踏まえ、今年は昨年より4人増えて12人となり、一般就労に向け意欲を高めている。
恵愛会は、障害を持つ人たちの「働きたい」「自立したい」という思いに応えるため、就労継続支援A型事業所「クレドホテル函館」(深堀町)を運営。定員65人で、現在56人が客室清掃やベッドメイクなどの仕事に従事している。施設外就労は、ホテルに在籍しながら、さまざまな職業訓練を通じ自分に合った作業や環境を確認できる。JAと恵愛会は昨年から契約を結び、具体的な農福連携に乗り出した。
今回、JAの施設で受け入れた12人は、20~50歳の男女で、昨年も経験した人が6人、新規メンバーが6人。新メンバーは利用者だけの作業スペースで、2年目の人たちは一般のパート従業員と一緒に仕事をしている。
利用者は、新型コロナウイルス対策としてマスクと手袋を付け、飛沫(ひまつ)防止の透明ビニールカーテンを設置した作業台で黙々とカーネーションを選別。勤務時間は新メンバーが午前8時半~午後5時、2年目の人たちは午前8時半~作業終了までとなっている。
カーネーションの共選は今月1日に始まり、施設外就労も同日にスタート。期間は新メンバーが9月末まで、2年目の人たちは共選が終わる11月中旬まで。
JA花卉課の壁坂俊哉さん(38)は「昨年の実績を踏まえ人数を増やした。1年目の経験として障害を持つ人でも十分戦力になると認識できた。今後も農業と福祉の連携を広げていきたい」と話す。JAが利用者の送迎を担い、12人のうち、9人が送迎を利用、3人が自家用車で通勤している。
利用者は作業を重ねることで、一般就労した際の精神的な負担を軽減する狙いがあるという。クレドホテル函館主任生活相談員の東出滉弥さん(26)は「普段と違う環境で、良い体験になる。一般就労に向け意欲も高まっている」と期待を込める。
利用者の一人で2年目の梶谷惟さん(32)は「ホテルとは違う仕事が経験でき、楽しい。既存のパートの人たちと話すのも刺激になっている」と笑顔を見せている。
道南には、道南地域農福連携連絡会議(事務局・渡島総合振興局、桧山振興局)があり、農家と事業所双方のニーズをくみ取り、マッチングさせる仕組みづくりを目指している。(山崎大和)