水産品加工・卸の「道水」(函館市豊川町、高野元宏社長)グループの「道水中谷水産」(高知県大月町、唐澤薫社長)が、2月に東京であった全国養殖クロマグロ品評会で最優秀賞を射止めた。同社の「黒潮本まぐろ」は鮮度の良い生餌にこだわり、養殖臭がなく、赤身がきれいで、程よい脂がのっているのが特徴。マグロ〝日本一〟の称号を得て、喜びもひとしおだ。
国産水産物販売促進協議会(東京)が主催した国産養殖クロマグロ(本マグロ)の初の全国品評会。新型コロナウイルス禍で販売に苦戦する養殖クロマグロの消費拡大を図る狙いがある。今回は長崎、三重、高知、愛媛、大分の5県から計7社がトップクラスのマグロを出品した。
審査委員長を服部栄養専門学校の服部幸應校長が務め、20人の審査員が赤身、中トロ、大トロの色や食感、味などを審査した。
2011年設立の道水中谷水産は、宿毛湾で本マグロとブリの養殖事業を手掛けている。黒潮本まぐろはサンゴが群生する清浄な海域に設置した直径50メートル以上、水深15~20メートルの大型いけす21基で3万~3万5000匹を養殖。餌は近海で漁獲した新鮮なサバ、イワシ、アジなどの地魚を与え、養殖臭のしない自然な味に仕上げている。
稚魚は2年以上掛け育て、50キロ以上で出荷。年間最大出荷可能本数は1万5000匹と単一漁場では日本最大級の規模で、1匹ずつ正確で丁寧な処理(血抜き、内臓除去)を迅速に行い、「販売先のお客さまの顔をイメージしながら作業に当たっている」(道水の小西英樹総務部長)という。
大月町のふるさと納税での返礼品に本マグロが採用され、人気商品となっている。小西部長は受賞について「日頃の努力が報われ、現地スタッフの活力となる。現在は関西中心の流通だが、北海道でも販売ルートを開拓したい。日本一のマグロを食べてみたいという声もあり、すし店などでキャンペーンを展開し、函館でも売れれば」と笑顔を見せている。(山崎大和)