函館市農林水産部がまとめた市水産物地方卸売市場での8月の生鮮スルメイカ取扱量は、前年を28トン下回る68トンだった。統計の残る2005年以降では、19年の96トンを更新し過去最低。函館の前浜を含む津軽海峡の漁獲は低迷したままで、海水温の上昇で、群れが一時的に途切れる〝夏枯れ〟の発生が要因の一つとみられる。
同部によると、1キロ単価は前年を142円上回って1006円と05年以降で過去最高。薄漁を反映した形で、初めて1000円台に乗せた。取扱金額は前年比18%減の6842万円。出漁回数は前年より3日多い25日で、30、31の両日はしけの影響で2日連続で出漁できなかった。
漁解禁から3カ月間(6、7、8月の合計)の取扱量は前年より40トン少ない189トン、単価は35円高い917円、金額は同15%減の1億7330万円。
函館頭足類科学研究所の桜井泰憲所長(北大名誉教授)は、冬に東シナ海で生まれ太平洋を北上するグループ(冬季発生系群)の道南での漁獲について「道東にスルメイカに適した海域が長く続く可能性があるので、南下してくる道南での漁期はかなり遅れるだろう。来年1月まで漁が続くかもしれない」と話す。冬生まれ群は「資源水準は低いながら、昨年度よりも漁獲が上向く可能性がある」と指摘している。(山崎大和)