函館の地酒「函館奉行」の原料となる酒米「吟風(ぎんぷう)」の稲刈りと新酒醸造祈願祭が20日、市内米原町であった。黄金色に染まった水田に生産者ら約10人が集まり、銘酒誕生を祈願しながら作業に精を出した。
函館の一般財団法人北海道食品開発流通地興(谷沢広代表理事)による地酒づくりは6年目。今年は1万6000平方メートルに作付けしたが、田植えした6月からの1カ月間で低温と日照不足に見舞われ、収穫量は昨年を1トン下回る4トン程度にとどまる見込み。
この日は、谷沢代表や地元生産者の橋田孝一さん、川村真一市農林水産部長らが参加。神事に続いて、ぬかるんだ田に入り、鎌を使って丁寧に稲を刈り取った。
収穫した吟風は、小西酒造(兵庫県伊丹市)が醸造し、純米吟醸酒として仕上げる。谷沢代表は「技術のノウハウを共有して若手にコメ作りを引き継ぎ、農家の収益性を高めたい」とした上で、今後の展望に関し「市民や観光客に愛される酒を目指し、大切に育てたい」と意欲を示していた。(山田大輔)