小型太平洋クロマグロ(30キロ未満)の取りすぎで南かやべ漁協が迷惑料として拠出金の支払いを検討していた問題で、金額が1億5000万円に決まったことが27日、関係者への取材で分かった。拠出金の使い道は今後、日本定置漁業協会(東京)などが決める。
21日に開かれた同協会の理事会で決まり、27日付で会員へ通知された。同漁協で昨年9月28日~10月2日にかけて、小型太平洋クロマグロの大量入網があったことなどを受け、水産庁は同10月6日付で定置網を共同管理する20道府県に対し、操業自粛を要請。1月には日本の漁獲上限3424トンの9割を超えたため、全国の漁業者に対し改めて操業自粛要請を出していた。
関係者によると同12月下旬、同協会から同漁協へ小型クロマグロの漁獲超過が「取り得」にならないよう、拠出金の支払いもしくは次年度の配分枠から拠出するよう通達されていた。これを受けて同漁協側が拠出金として1億5000万円を提示したという。
操業自粛については1月31日、東京都内で全国の沿岸漁業者や漁協関係者などに向けた説明会が開かれていたが、出席した他府県の参加者からは同漁協の小型クロマグロの大量漁獲に対し、厳しい意見や不満の声が上がっていた。
水産庁がまとめた30キロ未満の小型クロマグロの国内の水揚げ量は2月現在、3341トンと漁獲上限の約98%にまで迫り、いつ上限を超えてもおかしくない状況となっている。
小型クロマグロは資源保護の理由から各国に漁獲量が決められており、上限を超えてしまった場合は今後、漁獲枠が減らされてしまうことにもなりかねないため、同庁は引き続き操業自粛を強く求めている。(野口賢清)