函館市が公表した住民基本台帳に基づく2021年12月末時点の人口は、前年同月比3785人減の24万8106人で、減少幅は平成元(1989)年以降で最多となった。死亡が出生を上回る自然減は2887人でこちらも過去最多。21年6月に25万人の大台を割り込んだ以降も減少が続き、市はさまざまな施策展開に取り組んでいる。
毎年12月末時点で市の人口を比較すると、旧4町村(戸井、恵山、椴法華、南茅部)と合併した04年に30万140人となって以降、17年連続で減少している。
1年間の自然動態をみると、21年の出生数は20年と比べ51人減の1179人。死亡数は同じく252人増の4066人で過去最高となった。転出が転入を上回る社会減では、21年は996人で前年比10人増。転入数は同比59人減の8085人、転出数は同比49減の9081人だった。
人口を年齢別にみると、年少人口(0~14歳)は前年比834人減の2万3046人で全人口の9・3%。生産年齢人口(15~64歳)は同比2991人減の13万4898人で同54・4%。老年人口(65歳以上)は同比40人増の9万162人で、65歳以上の割合を示す高齢化率は36・3%と、前年から0・5ポイント上昇した。
外国人は1004人で、前年から94人減少している。
市は「人口ビジョン」を策定し、60年の人口を11万9000人~14万9000人と推計する一方、今年度から5年間の第2期市活性化総合戦略では、出生率の増加や転出超過数の減少などに具体的な目標値を盛り込み、さまざまな人口減少対策を展開する。
取り組みの一つとして昨年度から、首都圏企業の従業員が旅先で休暇を楽しみながら仕事を行う「ワーケーション」の体験ツアーを開催。昨年度は67人が参加し、今年度は1、2月の開催予定で20人以上の応募があるという。また、テレワークを行う企業への助成を行う「サテライトオフィス開発等支援事業」を進めていて、首都圏からのアクセスの良さや、リモートワークのための環境が整っていることをアピールし、将来的な企業誘致につなげたい考えだ。
市経済部は「観光都市としての函館の魅力を感じてもらいながら、仕事や生活の場としても快適であることを知ってほしい。将来的には移住人口の拡大につなげたい」と話している。(小川俊之)