函館市は4月から、一人親家庭の親と子が高校卒業の資格を得られるよう支援する「ひとり親家庭高卒認定試験合格支援事業」を実施している。より良い条件での就職や資格取得などに向けた「学び直し」をサポートする。試験合格のために講座を受講した際、受講費用の一部を補助するもので、市は就労支援の充実に向け、多くの活用を呼び掛けている。
同事業は国が自治体に実施を求めており、多くが4月に開始。経済的に苦しい一人親家庭の自立に向け、同事業によって正規雇用を中心とした就業につなげるのが狙い。
国が年2回実施する高校卒業程度認定試験(旧大検)を受けるための講座受講費への補助を行う。講座修了時に受講費用の2割、試験合格時に同4割の合計6割、15万円を上限に給付金を支給。年齢制限はなく、高校中退の子どもも対象。
市子育て支援課によると、民間事業者が行う講座受講費の相場は35万円ほどだといい、修了時に7万円、合格時に8万円を上限に補助されることになる。通信講座も対象で、受講前に市に給付金の申請を行う。
国の全国母子世帯等調査(2011年度)によると、最終学歴が中学卒の一人親世帯の親の割合は約13・8%。市内の一人親世帯は現在約4500世帯で、少なくとも621世帯が対象となる見込み。一方で、先行して実施した苫小牧市での利用実績は昨年度ゼロで、「非正規や中卒可のパート職を選ぶ人が多く考えられる」(同課)とみる。
ただ、近年子どもの貧困化などが問題視されている中、同事業を経て高卒資格を有することで、より給料の良い会社への就職、看護師や保育士などの資格取得に向けた進学も可能となる。同課は「市では国家資格取得の修業支援も行っている。この事業を働くための第一歩として浸透させ、一人親世帯の自立を支援していきたい」としている。(蝦名達也)