函館市は、空き家対策特別措置法に基づく「市空家等対策計画」(計画期間1016~20年度)を策定した。空き家が多い西部地区と中央部地区を重点対象地区に設定。修繕で利用可能な物件の活用促進や、危険な空き家(特定空家)の解消につなげる補助制度を創設するなど総合的な対策を進め、生活環境の確保に努める。
市は空き家対策として、14年1月に独自条例を施行し、昨年の同法施行後には条例内容を見直した。これまでに空き家のデータベース化などを進めている。市住宅課によると、同法の施行で可能となった固定資産税情報を活用し、これまで不明だった関係者が判明するケースもあった。
また、関係者特定後は、現地の写真などと合わせて改善を図るよう文書を送付。同課は「市に連絡が来るのは半数程度だが、連絡が来なかった場所の空き家が改善された事例もある」とする。
新たな計画の策定に合わせて、空き家の利活用を進める制度として、空き家に入居を希望する子育て世帯(中学生以下の児童がいる世帯)に改修費用の20%以内、100万円を上限に補助する。屋根や外壁改修を想定し、バリアフリー化などを進める既存の住宅リフォーム補助金との併用も可能で、本年度は5件程度の活用を見込む。
さらに解体工事費の50%以内、30万円を上限とした補助制度も創設。20件の利用を見込み、600万円を予算化した。ともに重点地区内が対象で、5月上旬に受け付けを開始する。
さらに、跡地の活用促進向けて「地域共有の公共空間としての活用可能性の検討」「土地活用を促進するため、建設誘導する仕組みの検討」とする今後の課題も計画に盛り込んだ。
同課は「周囲に危険な空き家がある場合は相談をいただきたい。ただ、空き家も個人の財産で、本来は所有者による適正管理が必要。当事者意識の醸成も図り、発生の抑制につなげたい」としている。(今井正一)