函館市議会第1回定例会は2日、各会派の代表質問が始まった。工藤寿樹市長は新年度、生活保護受給世帯を含めた生活困窮世帯の中学生を対象に、学習支援事業に乗り出す方針を示した。〝無料学習塾〟の形式をイメージしており、引きこもりの子どもへは個別訪問し、親に対する養育支援などを行いながら、生活保護や貧困状態からの自立につなげる。
子どもの貧困対策について、道畑克雄氏(民主・市民ネット)と茂木修氏(公明党)がただした。
国は昨年4月施行の「生活困窮者自立支援法」に基づき、各自治体に生活困窮世帯の子どもを対象とした学習支援を実施するよう指示。新年度は高校中退防止と家庭訪問の取り組みの強化をうたっており、市は生活困窮世帯で塾に通えない中学生の高校進学に向けて後押しする。
学習支援事業は、法人格を持つ民間事業者に委託して実施。プロポーザル(提案型公募)で事業者を選定する予定で、7月ごろから業務を開始したい考え。
市は本年度、子どもが小・中学校に入学する際の入学準備給付金制度や学童保育料の軽減といった新たな施策を創設するなど、子育て世帯への支援を強化している。だが、塾に通えず学習速度に差が付いたり、孤立化してしまったりする子どもが潜在的にいると考えられる。
また、「親が就労できずに進学が難しくなり、子どもの学習意欲低下を引き起こす可能性もある」(市生活支援第1課)ことから、学習面の支援と合わせ、市の支援員が引きこもりの子どもを抱える生活困窮世帯を個別訪問。進学に必要な公的サービスの情報提供や、親の就労支援につなげる狙いがある。
学習と生活の両面から支援し、子どもの居場所づくりとしても機能させたい考えで、工藤市長は「貧困の連鎖の防止に期待を持てる」と述べた。
この日の代表質問には3氏が登壇した。(蝦名達也)