函館市の住民基本台帳における人口は2016年の1年間に3114人が減少し、厳しい状況が止まらない。3年連続で死亡者数が出生者数を2000人以上上回り、転出入の差による社会減の幅も2年ぶりに1000人台に広がった。少子化による影響が色濃い状況だが、この10年間、年平均で2800人以上減り続ける危機的な状況が常態化しており、効果的な対応策が見えない状況だ。
市人口ビジョンなどによると、函館の人口がピークを迎えた1980年には既に転出者が転入者を上回る社会減の状況で、80年代には年間5000人近い転出超過の年もあった。社会減の幅は近年では06~08年に3年連続で2000人台となった以降はおおむね1000人前後。近隣の北斗市や七飯町との3市町間の人口流出入はほぼ均衡がとれた状態に落ち着いているが、札幌や首都圏を中心とした大都市への流出が続いている。
一方の自然動態では、95年に出生数が死亡数を下回る自然減に転換。少子化に歯止めがかからず、自然減の幅は拡大の一途で、09年からは社会減数を自然減数が上回る状態となった。この数年は死亡数はほぼ横ばいの状態だが今後の増加が見込まれるほか、出生数の減少が顕著。16年は1539人にとどまる。
また、06年末と16年末との10年間を比較すると、年少人口(14歳以下)は6907人、生産年齢人口(15~64歳)は3万7298人が減少し、老年人口(65歳以上)は1万6229人増加した。老年人口割合は市民3人に1人が高齢者であることを示す33%で、06年末と比較して8・7ポイント増加。生産年齢人口の割合は7・3ポイント減少の56・9%となっている。
生産年齢人口のうち、20歳代は06年末は3万940人いたが、16年末は9438人減少して2万1502人。30歳代は3万8450人が1万716人減少し、2万7734人となった。50歳代も1万5710人減少し3万3405人。逆に団塊ジュニア層が含まれる40歳代は06年比で約2000人増の3万6744人となっている。
10年ほど前に一挙に進んだ他地域への人口流出が現在の少子化の流れにもつながり、好転の兆しはほとんど見えない状況だ。年齢構造の〝逆三角形化〟は一層進むと見られ、労働力不足や空き家の増加など、地域のさまざまな場面で負の循環に拍車がかかるとみられる。(今井正一)