開港157周年記念函館港まつり(8月1~5日、実行委主催)を盛り上げる函館市電の装飾車両「花電車」の1両のデザインがリニューアルした。函館山を中心とした現在の街並みと明治時代の風景を採用。錦絵を立体的に見せる伝統的な玩具「立版古(たてはんこ)」の手法を用いて、車体の左右で違った雰囲気があり、函館らしさや楽しさを演出している。
昨年度まで北海道新幹線H5系車両が描かれていた車両をリニューアル。実行委が公立はこだて未来大学に依頼し、学生による複数のアイデアから、システム情報科学研究科メディアデザイン領域修士1年の斉田萌さん(23)の作品が選ばれた。
昔の風景は「函館公園全図」(1882年刊行)で描かれた噴水を中心とした函館公園、「商工函館の魁」(1885年刊行)から牛肉店や菓子商など3軒の建物をピックアップ。現在の風景は金森赤レンガ倉庫群や西部地区の教会群などの風景を選択した。
立版古を模して3層のパネルに加工した。最奥にはそれぞれ函館山があり、港まつりらしさとして花火を描き、現代と明治時代の対比が楽しめる。
斉田さんは「現在と昔の風景を対比させ、花電車の形状から立版古を再現しようと考えた。花電車は港まつりの盛り上げ役。観光客には函館らしさ、市民には昔の函館の風景の良さを感じてもらえたら」と話している。
花電車は計3両あり、函館新聞社と大正製薬がスポンサーを務める車両とともに30日から運行する。(雨天時は中止)。(今井正一)