函館市女性会議(佐々木香会長)は、9月5日に市地域交流まちづくりセンターで初開催する「はこだて防災マルシェ2021」に向けて、活動資金の寄付を求めるクラウドファンディング(CF)に挑戦している。「誰ひとり取り残さない防災」を目標に企画し、講師の招へいや体験型ワークショップ開催などを通じ、地域の防災力向上につなげる。
同団体は2011年3月の東日本大震災時に各地の避難所で女性や高齢者らがより厳しい状況に置かれた現状を踏まえ、男女共同参画の推進という団体の目的に防災を織り交ぜて、女性や弱者の視点を取り入れた災害に強いまちづくりの活動にも力を注ぐ。
防災マルシェは家族で気軽に足を運び、楽しく防災を学ぶイベントとする考え。女性会議メンバーを中心に大学生らも参画して準備を進めている。里帰り出産と子育てのために市内の実家に帰省中の成田矩子さん(32)も準備を手伝う一人。出産後、防災への意識が変わったとし「子どもと一緒に避難するとなると持ち物も違ってくる。災害備蓄品に必要なものがあるか考えるようになった」と話す。
寄付金は、これまでも函館での講演歴があり、防災のスペシャリストとしてNPO法人日本トイレ研究所の加藤篤代表理事、アウトドア防災ガイドのあんどうりすさんの招へい費用などに充てる。マルシェ当日だけではなく、講師を函館大妻高校に派遣し、防災教育ワークショップ「女子高校生が考える避難所のTKB(トイレ・キッチン・ベッド)」も計画。若年層にも災害時対応を考えるきっかけにしてもらう。
新型コロナウイルスの流行が終息しない中での開催だが、佐々木会長(58)は「災害はどの状況下でも起こりうる。感染防止対策を取りながらイベントを行うことも、災害時の対策につながる」とし、「いただいた寄付は函館市民の防災意識を高めるために役立てたい。全国の函館ファンにも応援してもらいたい」と協力を呼び掛けている。
CFは、認定NPO法人北海道NPOファンド(札幌)のまちのプロジェクト基金に採択され、同ファンドから組織支援を受けての取り組み。寄付額に応じた返礼品(リターン)はないが、寄付金控除など税制優遇の対象となり、協力者にはイベント終了後に礼状と事業報告書を送付する。
目標金額は117万6500円。8月10日まで受け付ける。ゆうちょ銀行口座への振り込みなどでも対応。詳細は同ファンドのホームページ(https://npoproject.hokkaido.jp/)へ。(今井正一)