道南写真館協会(加藤昇会長)は1日、函館市豊川町の「北海道写真発祥の地碑」前で碑前祭と、市民から寄せられた古い写真を供養する「写真供養祭」を行った。同協会によると家庭から寄せられた写真は過去最多といい、函館八幡宮の神職がお払いした。
供養祭は、各店の客から古い写真の処理に困っているとの声を受け、1996年から行っている。今年は段ボール約200箱相当分が集まった。加藤会長は「これまでで最も多い。各店に持ち込んだ人は高齢者が多く、東日本大震災が発生した5年前も多かったが、今年も熊本地震があったことで、身の周り品を整理されたのかもしれない」と話す。今年は函館の歴史にかかわる貴重な写真はなかったという。
同協会の会員や、北海道写真館連合会の原崎眞一会長、当日に写真を持ち込んだ人など約20人が参列。神職が碑に向かい祝詞を奏上し、原崎会長、加藤会長らが玉ぐしを捧げて先人の遺徳をしのび、最後に写真に塩をまいて清めた。原崎会長は「今後も道南協会の力で、供養祭を続けてほしい」とあいさつした。
参列した市内の男性は「古い時代の親せきなど、写っている人が誰なのか分からないことや、自分の写真であれば自らの手で破いたりできるが、他人の写真はそうはいかないので処分を願い出た」、加藤会長は「現代は写真への価値観が変わっている中、震災のあった年に数が増えることは深く考えさせられる。撮影した私たちが供養祭を開くことは当然で、今後も続けたい」と話した。
写真供養は今年から手数料として1件500円を受けていたが、熊本地震の義援金とすることとなった。供養祭にかかった費用を除いた分や、道南協会の会員が寄せた分を合わせ、日本写真文化協会などを通じて熊本県内の写真館の復興支援として送られる。(山崎純一)