新型コロナウイルスの影響を受け、NPO法人函館アフリカ支援協会(中川俊男理事長)によるウガンダへの支援活動が停滞気味だ。2018年から取り組むミシンを活用した現地小学校の縫製技術教育が休止となり、函館では支援金を集める事業の実施ができずにいる。これまで地道に根付かせてきた活動の継続に向け、さらなる支援と協力を呼び掛けている。(今井正一)
同国保健省のホームページなどによると、同国の感染者は2日現在、累計2万1409人、死者206人で、感染者は増え続けている。3月中旬に宣言されたロックダウン(都市封鎖)は、段階的に緩和されたが、現在も夜間外出規制など制限が残る。
同国出身で公立はこだて未来大学のドミニク・バゲンダ准教授(47)は3月に2週間程度の予定で一時帰国中に巻き込まれ、9月まで日本に戻れなかった。都市封鎖下の状況について「経済は後回しで、仕事がなくなって地方に帰る人が増えた」と話し、推定300万人が住む首都カンパラでは人口が200万人以下に減少。都市部と地方の情報、感染症への認識格差も浮き彫りになった。
現地では元々マスク着用の習慣や入手手段もない状況で、多くの国民はタオルやハンカチで口を覆っていた。バゲンダさんから状況を聞いた石田耕造副理事長(74)は、4月22日付の函館新聞が掲載した立体マスクの型紙の記事を写真で送り、マスク作りを提案。早速、縫製技術を持つ現地女性たちが製作を始め、貴重な収入源となった。日本円で1枚30円と安価ではないが、カラフルな布マスクは人気を集め、着用習慣の普及にも一役買ったという。
また、同協会は18年に道南を中心に足踏み式ミシンや編み機の提供を受けて計300台以上を送った。東部のカパリス小学校では同年から5カ年計画で縫製技術教育が始まったが、休校で事業が休止。カンパラで始まっていた編み機でニット製品をつくる取り組みも止まった。石田副理事長は「道南の方々からの思いを受けて軌道に乗せた矢先だった」と悔しがる。
一方、バゲンダさんは予定外の長期滞在中、未来大の講義は時差の関係で現地時間の未明から正午までリモートで実施。午後の時間を活用して支援活動を進めた。カパリス村では安値にしかならなかった緑豆を選別してパッケージ化し、現地スーパーで販売。元々栄養価があり、クッキーや離乳食など一手間を加える利用方法が広まれば、乳幼児死亡率の低下や農業発展にも期待できるという。ミシン輸出時に高額な関税が課題となったことから受け入れ窓口となる現地NPO法人設立準備も進めている。
ただ、函館では支援金を集めるチャリティーコンサートが開けず、現地の自立を促す技術講師らの賃金などに必要な支援金が確保できていない。来年以降の活動継続も不透明で、中川理事長(72)は「ミシンや編み機などハード面がそろったので、現地で人材が育ってくれたら…。活動継続に向けて支援の進め方を模索したい」と話している。