函館碧血会(大谷長道会長)は25日、箱館戦争(1868~69年)の旧幕府軍戦死者を慰霊する碑前祭を碧血碑前で開いた。参列した関係者や市民ら約90人が、終戦から150年という時の流れに思いをはせた。
碑前祭は、箱館戦争で中島三郎助らが戦死した千代ケ岡陣屋が陥落し、雌雄を決した69(明治2)年5月16日(旧暦)が同年の新暦では6月25日に当たることから、毎年この日に執り行っている。同碑は、柳川熊吉、榎本武揚や大鳥圭介らの尽力で75(同8)年に建てられた。
この日は、谷地頭認定こども園の園児が碑前に千羽鶴を供え、終戦当時の遺体収容とも関わりが深い船見町の実行寺の望月伸泰住職ら僧侶6人が読経しながら碑の周りに白いマーガレットを散華した。参列者は焼香し、静かに手を合わせた。佐藤豊副会長は「箱館戦争の終結から150年、碧血碑の建立から142年。碑前祭は地域の文化であり、永遠に続けていきたい」とあいさつした。
この日は東京から榎本の子孫、榎本隆一郎さん(57)、土方歳三の兄の子孫、土方愛さん(47)も参列。榎本さんは「この場所はいつ来ても背筋が伸びるというか、緊張する場所。150年という時が経ったが、思いを引き継いでいかなくてはと思っている」と話していた。(今井正一)