スクールバスを待っていた児童ら19人が殺傷され、うち2人が死亡した川崎市の事件を受け、函館市内の小学校でも29日、子どもの登下校時の見守りを強化した。私立小学校では、児童のスクールバスの乗り降りに保護者が付き添うなど、児童の安全確保に万全を期した。
市教委によると、事件が発生した28日午前、通学路の再点検、見守り体制の強化を各学校へ緊急通知。また、道教委からの通知内容を29日に全小・中学校にメールで伝えた。4月1日現在、市内では小学校で5校がバス、1校がタクシーを通学に利用。中学校では2校がバス、1校がタクシー、幼稚園では1園がバスを利用している。保健給食課は「通学路の緊急合同点検を実施するなど、対応を強化したい」とする。
スクールバスで児童を送迎する私立の函館三育小学校(鈴木宏和校長、児童41人)では、保護者に児童の安全確保への協力を呼び掛けた。
同校では従来、登下校時にスクールバスの停車場所まで保護者の送迎を促し、児童が一人でバスを降りて帰宅しないよう取り組んできた。事件を受け、児童に危険を感じたら防犯ブザーで助けを呼び、決して児童だけで解決しようとしないことを確認。校長自ら各家庭へ連絡し、バス停車場所までの送迎をあらためて呼び掛けた。保護者の一人は「函館でもいつ何が起こるか分からない。子どもを守るため、親も十分に注意したい」と話す。
児童の大半が路線バスを使って通学する道教育大附属函館小(北村博幸校長、児童402人)は29日、保護者向けに便りを出し、通学の安全を高めるよう求めた。具体的には①登下校時、学校周辺バス停で教職員が安全指導・確認をする②保護者は子どもに安全を指導し、見守る③職員が学校周辺を巡回する④警察へ学校周辺と児童が乗降するバス停周辺の巡回を強化するよう要請-との内容。
函館中央署は子どもたちに対し、日頃から防犯ブザーを持つことや、不審者対策として「行かない、乗らない、大声を出す、すぐ逃げる、知らせる」の頭文字を取った防犯標語「いかのおすし」の徹底を呼び掛ける。地域住民には、青色回転灯装備車両や各町会での見守り活動に一層力を入れてほしいと働き掛ける。
同署生活安全課の赤坂淳史課長は「事件を防ぐためには、地域の目が大事になる。警察も登下校時間帯や、公園など子どもが集まる場所の警戒を強めていきたい」と話している。(山崎大和、飯尾遼太、北川隼夢)